歯周病の基礎知識

歯周病は、プラーク(歯垢)に潜む歯周病菌によって歯茎や歯を支える骨などの歯周組織に炎症が起きる病気です。痛みなどの自覚症状が乏しいため、症状の進行に気付きにくく、
歯茎の腫れや出血が代表的な初期症状ですが、気付いた時にはすでに重症化していることも多く、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯周病は悪化するととても深刻な病気です。

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  • 歯周病の原因

    歯周病は、プラークに潜む歯周病菌が原因となって引き起こされる歯茎の感染症です。歯周病菌は、多かれ少なかれ誰の口腔内にも存在しており、歯茎の治療によって一時的に菌そのものを全滅させることはできますが、正しいブラッシングができていなければ再発してしまいます。その意味で、歯周病の真の原因は「歯周病菌が増殖しやすい口腔内環境をつくってしまうこと」にあると言えます。 歯周病は、かつては老化に伴う疾患だと考えられていましたが、研究が進んだ今日は原因が特定されており、適切な処置によって予防・治療ができることが明らかになっています。しかしながら、未だにこの事実を知らない歯科医師もおり、それが歯周病患者が増え続けている要因にもなっています。

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  • 定期的なメンテナンスは必須

    正しいブラッシングを習得していただければ、確実にプラークの磨き残しは減少するはずです。しかし、プラークを100%取り除くことができるわけではなく、ホームケアにはどうしても限界があります。 ホームケアの限界を補うには、歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。メンテナンスでは、ホームケアでは取り除くことができない歯周ポケット内のプラークを確実に取り除きます。「毎日の正しいホームケア + 定期的なメンテナンス(プロフェッショナルケア)」の両輪を回すことで、歯周病のリスクを限りなくゼロにすることができます。歯周病にならない人・再発しない人は、この両輪を実践されています。

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  • 歯周病の予防法

    歯周病とは、上述のとおり、細菌感染によって引き起こされる病気です。原因がプラークであるなら、歯周病の予防法はただ一つ、口腔内からプラークを除去することであり、プラークを除去するためには毎日の歯磨きが欠かせません。 ここまで読んでいただければ、「歯磨きでプラークを取り除けば歯周病は予防できる」ということが分かるかと思います。しかしながら、毎日歯磨きをしていても歯周病にかかってしまう人は多くいます。それは、なぜなのでしょうか?

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  • 歯磨きだけではプラークは取り切れない

    口腔内のプラークを取り除くには歯磨きが欠かせませんが、歯磨きだけでプラークを取り切るのは困難です。私たちの口腔内には、歯ブラシが届きにくい箇所があります。奥歯や歯並びの悪い箇所には歯ブラシが届きにくくプラークが残りやすいため、特に歯周病が発症しやすい傾向にあります。また、「毎日、丁寧に歯磨きをしている」と言う人でも、磨き残しがある人がほとんどだと言えます。これは、自分では丁寧に磨いているつもりでも、実際は長年のブラッシングの癖などがあって自己流の磨き方になっているからです。

歯を失う原因の1位は歯周病

歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が細菌感染して炎症が起きる病気です。進行すると歯を支える骨が溶け、歯が抜け落ちてしまうだけでなく、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞など全身疾患の要因にもなります。30代の80%が歯周病にかかっており、現在歯を失う原因の1位は歯周病です。 歯周病は定期的なクリーニングと、丁寧な歯ブラシが改善のポイントです。歯ぐきの腫れや出血など気になる症状がありましたら、まずはご相談ください。

歯茎の腫れや出血が代表的な初期症状ですが、進行すると歯を支えている骨が痩せて歯がグラグラになり、最終的には歯が抜けてしまいます。歯周病や歯肉炎と言うと、「歯茎から血が出る病気なのかな」という軽いイメージがあるかもしれませんが歯を失うリスクの高い病気としてとらえて予防・治療をきちんとおこないましょう。

歯周病セルフチェック

以下の症状にあてはまっったら、当院にご相談ください。

  • 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
  • 歯肉が赤く腫れている。
  • ブラッシング時に出血する。
  • かたい物が噛みにくい。
  • 口臭が気になる。
  • 歯が長くなったような気がする。
  • 歯肉がむずがゆい、痛い。
  • 歯と歯の間に隙間がでてきて、食物がはさまる。

歯周病が全身に及ぼす影響

糖尿病

糖尿病で高血糖状態が続くと、体の中の防御反応が低下するので感染症にかかりやすくなるといわれています。細菌感染を原因とする歯周病も、糖尿病の人は健康な人に比べて歯周病にかかるリスクが高まります。 また高血糖状態でハグキの血管が傷んでしまうことで、歯周病が進行しやすくなります。

妊娠トラブル

歯周病にかかっている妊婦さんは、そうでない人に比べて早産・低出生体重児の確率が約2~4倍になるというデータがあります。早産や低体重の赤ちゃんは病気にかかりやすく、障害を負ってしまうリスクも高まります。歯周病は歯垢が残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですみますので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。

心臓疾患

歯周病に感染すると歯茎から血管内に細菌が侵入し、血流によって心臓に運ばれることで感染性心内膜炎をはじめとする心臓疾患を引き起こすリスクが生じます。

関節リウマチ

関節リウマチとは、手足の関節がこわばったり痛んだりして、進行すると関節の変形をきたす病気です。近年、関節リウマチと歯周病の相関関係が注目されています。歯周病の細菌がつくり出す毒素(炎症性物質)によって関節リウマチが発症・進行したり、関節リウマチの症状が重くなったりすること、また、歯周病治療によって関節リウマチの症状が改善されることが明らかになっています。

誤嚥性肺炎

誤嚥(ごえん)とは、加齢や認知症などによって「飲み込む」機能が低下することで、誤って気管に食べ物が入ってしまうことを言います。誤嚥によって歯周病菌が気管に入り込んで肺にまで到達すると、肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすリスクが高まります。

脳梗塞

脳の血管のプラークが 詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる病気です。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。 血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療は、より重要となります。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療は歯科医師による治療、歯科衛生士によるケアと、患者さんによるホームケア、この3つが大変重要で、どれがかけても歯周病はよくなりません。得に患者さんの病気への理解と日々のケアがとても大切ですので、わかり易い説明とフォローを心がけています。

  • 歯周病検査とブラッシング指導

    最初にレントゲン写真を撮影し、歯周病の進行状態を歯周ポケットの深さを調べます。 毎日のブラッシングでどこが磨けていないのかをよく理解していただいた上で、効果的なブラッシング方法を学んでいきます。

  • スケーリング(歯石除去)

    歯石は歯面に付着したプラークに唾液中のリン、カルシウムが混じって石灰化したものです。歯に付着しておりそれ自体の病原性はありませんが、表面がでこぼこしていて、歯垢が付きやすいため、一般的に超音波スケーラーやキュレットスケーラーを使用して取り除きます。

  • 歯周外科(フラップ手術) ※必要な場合のみ

    歯槽骨の破壊が大きく、歯周ポケットが深い場合には、歯肉を開いて歯根を露出させ、歯根に硬く付着している歯垢や歯石を取り除いて歯根の表面を滑らかに整えます。(ポケットの外から器具で歯垢や歯石を取り除くことが不可能な場合のオプション手術となります。)

  • メンテナンス

    治療後良い状態を維持し、再発を防ぐためにメンテナンスを開始します。 歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(クリーニング)を定期的に行います。 進行した歯周病の治療が終わった方は、1~3ヵ月のサイクルで来院し安定した歯茎の状態を管理していくことが大切です。